春は卒業の季節。
先日、ある高校の卒業式に参列して来ました。
ここの学校の生徒は、知能などに障害のある子どもたちで、式の直前、控室で教頭先生から「どんなことが起こるかわかりませんが、温かく見守って下さい。」と前置きがありました。
でも、その卒業式は、ハラハラしながらも、心がジ~ンとするような出来事の連続でした。
式場に入ると、いきものがかりの「ありがとう」の曲が流れ、20数名の卒業生が入場して来ました。 喜びを隠しきれずニコニコ笑っている子、緊張から固くなっている子、キョロキョロと落ち着かない子など、卒業生の席は常に揺れ動いています。 教室までは来たものの、まだ会場に入って来れない子もいました。
卒業証書の授与が始まりました。
ある生徒は、卒業証書を受け取ると、「おかあさ~ん」と声をあげ、嬉しそうに母親に向かって証書を高く掲げました。 するとそのお母さんは、保護者席から息子に向かって大きくガッツポーズをしたのです。子どもの気持ちをドーンと受け止めるお母さんの姿が、とっても素敵でした。
最後になってやっと会場に入って来た男子生徒は、ブレザーの中に顔をうずめたまま、ステージの前まで進むのがやっとで、階段の前で寝そべってしまいました。 すると校長先生は、微笑みながら縁台から下りてきて、身をかがめて卒業証書を渡されました。
足が不自由で、縁台への階段を、手すりで体を支えながら、一段一段ゆっくりと上がる生徒もいました。「もう少しよ、もうちょっと・・」 自分の力で卒業証書を受け取りに行く姿を、会場のすべての目がじっと見守りました。
校歌斉唱では、ピアノにあわせ大きく体を揺らしながら歌う子、泣きながら歌う子、どの子も一生懸命に歌っていました。 卒業式には何回も出てきましたが、生徒がこんなに元気よく、声高らかに歌うのは初めて聞いたように思います。我が子の卒業式でもないのに、いつの間にか涙がポロポロこぼれていました。
ちょっと前、細川佳代子氏(元総理の細川護煕夫人)の講演を聞く機会があったのですが、その中でこんな言葉がありました。「人間の2%は障害をもって生まれてくるそうです。私は彼らのことを、神様からのプレゼントだと思っています。 彼らの心は純粋で、周りの人々に優しさというものを教えてくれるから・・・」 式の最中、私はその言葉を思い出していました。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます!
そして、素敵な卒業式に参列させていただいて、感謝です。